学外のこと|展覧会・イベント
2025.5.8
石田尚志「紫から始まる絵」
本学油画専攻教授 石田尚志 先生の展覧会が開催されます。
会期:2025年5月11日(日)- 6月22日(日)
会場:タカ・イシイギャラリー 前橋
オープニング・レセプション:2025年5月11日(日)13:30 – 17:30
この度、タカ・イシイギャラリーは、石田尚志個展「紫から始まる絵」を開催いたします。同作家にとってタカ・イシイギャラリー前橋で初の個展となる本展は、アーツ前橋を会場とする、2015年以来の大規模な個展「絵と窓の間」(2025年4月19日―6月22日)と平行して開催され、最新作とともに同地を訪れたことで描き出された作品群が初公開されます。
この冬に描きはじめていていたのは、紫の四角形と、そこから始まる小さな渦や上昇する何かだった。紫の矩形から始まり、その紫の矩形に戻る。その間にさまざまな色が矩形の外に現れていく。自然に生まれたこの一つのルールを繰り返すなかで、色に染まった部屋を渡り歩くポーの小説「赤死病の仮面」を思い出していた。ポーの多くの作品はフレームと視線の混乱の風景だから自分をいつも驚愕させる。この短い小説にある城も虹を閉じ込めた暗箱のようであり、外への渇望と同時に、すでに外の光を全て内包してもいる。ふと、自分のこの紫の四角形は、その最初の部屋であり窓であり、そして、最後の部屋への扉にならなければならないと思った。ポーは「構成の論理」で、「大烏」を最後から書き始めたと語っているが、終わりへすすむことと、終わりから始まっていることが同時に起きているような作品とはどういうことだろう。ある画家は、真っ白なキャンバスの最初の状態と同じ領域のような絵を描きたいと言っていたが、その不可能性が絵画のもっとも大きな原理だろう。少なくとも、自分はその少し手前で、紫色の四角形を描いていたようだ。